シグマは、ミラーレスカメラ用レンズにキヤノンRFマウント用を追加すると発表しました。
これまで、比較的高価な純正レンズしかラインナップのなかったRFマウントに、サードパーティー製のレンズが加わることになります。今回発売されるのは、いずれもAPS-C専用となります。
同時に6本のレンズの追加が発表され、それぞれが2024年7月以降に順次発売されていきますが、それぞれのスペックや、既存のRF-Sマウントレンズとのすみわけも気になるところです。
本記事では、発表されたレンズの詳細なスペックと、それぞれの価格、発売時期、既存レンズとの比較を紹介します。
シグマからRFマウントレンズが発売
シグマは、ミラーレスカメラ用レンズにキヤノンRFマウント用を追加すると発表しました。
ズームレンズ
項目 | 18-50mm F2.8 DC DN | 10-18mm F2.8 DC DN |
---|---|---|
発売時期 | 2024年7月 | 2024年秋以降順次 |
価格 | ¥75,000 | ¥85,545 |
レンズ構成枚数 | 10群13枚 | 10群13枚 |
絞り羽根枚数 | 7枚 | 7枚 |
最小絞り | F22 | F22 |
最短撮影距離 | 12.1-30cm | 11.6(W) – 19.1(T)cm |
最大撮影倍率 | 1:2.8-1:5 | 1:4 (W) – 1:6.9 (T) |
フィルターサイズ | φ55mm | φ67mm |
最大径 × 長さ | φ65.4mm x 74.5mm | φ72.2mm x 62.0mm |
質量 | 290g | 260g |
発売されるズームレンズは2種類です。焦点距離は18-50mmと10-18mmで、いずれも広角側の焦点距離にあたります。
18-50mmは標準ズーム域をカバーするレンズで、非常に使いやすいレンズとなることが想像できます。
SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN(SONY Eマウント用)
最短撮影距離 12.1cm、最大撮影倍率 2.8倍、フィルター径 55mm、最大径×長さ 約φ61.6×76.8mm、質量 約285g
これらのレンズは、既にSONY Eマウント用を始め、複数のレンズマウントからすでに発売されています。このたび、RFマウント対応レンズも発売されることなりました。
単焦点レンズ
項目 | 16mm F1.4 DC DN | 23mm F1.4 DC DN | 30mm F1.4 DC DN | 56mm F1.4 DC DN |
---|---|---|---|---|
発売時期 | 2024年秋以降 順次 | 2024年秋以降 順次 | 2024年秋以降 順次 | 2024年秋以降 順次 |
価格 | ¥49,500 | ¥53,500 | ¥43,625 | ¥56,800 |
レンズ構成枚数 | 13群16枚 | 10群13枚 | 7群9枚 | 6群10枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 9枚 | 9枚 | 9枚 |
最小絞り | F16 | F16 | F16 | F16 |
最短撮影距離 | 25cm | 25cm | 30cm | 50cm |
最大撮影倍率 | 1:9.9 | 1:7.3 | 1:7 | 1:7.4 |
フィルターサイズ | φ67mm | φ52mm | φ52mm | φ55mm |
最大径 × 長さ | φ72.2mm x 90.3mm | φ65.8mm x 76.9mm | φ65.4mm x 71.3mm | φ66.5mm x 57.5mm |
質量 | 415g | 340g | 280g | 285g |
単焦点レンズで、コストはいずれも6万円を超えない、購入しやすい価格帯となっています。
高価なRFレンズの互換として有用
シグマがRFマウント対応レンズを発売することは、既存のRFマウントユーザには朗報です。
純正RFレンズの代わりにシグマのレンズを選べることで、コストや性能の面で選択肢が増え、高価な純正レンズの代替となります。
シグマのレンズは一般的に、純正レンズよりもコストパフォーマンスが高いとされています。同等の光学性能を持ちながら、より手頃な価格で提供されることが多いです。これまでも、RFレンズのサードパーティー製品が待ち望まれていました。
DC DNとは?
「DC DN」という表記は、シグマのレンズシリーズにおいて「DC」がAPS-Cサイズのデジタルセンサー専用、そして「DN」がミラーレスカメラ用のレンズを意味しています。
- DC: 「デジタルクロップ」センサー、つまりAPS-Cサイズセンサー用に設計されていることを意味します。フルフレームセンサーよりも小さなセンサー向けに設計されており、レンズ自体もコンパクトになります。
- DN: 「デジタルネオ」を意味し、レンズがミラーレスカメラ用に設計されていることを示します。ミラーレスカメラはデジタル一眼レフカメラと比較してレンズマウントとセンサー間の距離(フランジバック)が短いため、特有の光学設計が必要です。
既に他マウントで実績がある
マウント | 18-50mm F2.8 DC DN | 10-18mm F2.8 DC DN | 16mm F1.4 DC DN | 23mm F1.4 DC DN | 30mm F1.4 DC DN | 56mm F1.4 DC DN |
---|---|---|---|---|---|---|
Lマウント | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ソニ Eマウント | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
富士フイルム Xマウント | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
マイクロ フォーサーズ マウント | 〇 | 〇 | 〇 | |||
キヤノン EF-Mマウント | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ニコン Zマウント | 〇 | 〇 | 〇 |
キヤノンRFマウントとして発売される6本のレンズは、既に他社マウントで実績があります。
キヤノンユーザ向けに初めて登場するのは、23mm F1.4 DC DN、18-50mm F2.8 DC DN、10-18mm F2.8 DC DNの3本のレンズです。これらはEFマウントにラインナップがないため、登場が楽しみです。
ズームレンズ・単焦点レンズともに評価も高い
最初に発売されるシグマ18-50mm F2.8 DC DNをはじめ、いずれのレンズも他マウントのユーザから高い評価を受けています。特にコストパフォーマンスの良さ、軽量さ、コンパクトさに定評があります。
F1.4の単焦点シリーズは、明るく描写力の高さを高く評価されています。
キヤノンのRF-Sレンズがあるなかでシグマは戦えるのか
RFマウントの一部のラインナップに、APS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラ用に特別に設計された「RF-Sマウント」が存在します。
RFマウント自体は、キヤノンのフルフレームミラーレスカメラ用に開発されたもので、RF-Sレンズはこれを小型化し、よりコンパクトなカメラ用に適したサイズと重量のレンズです。
項目 | RF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STM | RF-S 18-45mm F4.5-6.3 IS STM | RF-S 18-150mm F3.5-6.3 IS STM | RF-S 55-210mm F5-7.1 IS STM |
---|---|---|---|---|
価格 | ¥49,500 | ¥38,249 | ¥61,650 | ¥54,450 |
レンズ構成 | 10群12枚 | 7群7枚 | 13群17枚 | 8群11枚 |
絞り羽根枚数 | 7枚 | 7枚 | 7枚 | 7枚 |
最短撮影距離 | AF時:0.14m/ MF時:0.086m | AF時:0.2m/ MF時:0.15m | AF時:0.17m/ MF時:0.12m | 0.73m/1m |
最大撮影倍率 | AF時:0.23倍/ MF時:0.5倍 | AF時:0.16倍/ MF時:0.26倍 | AF時:0.44倍/ MF時:0.59倍 | 0.28倍/0.05倍 |
開放F値 | F4.5-6.3 | F4.5-6.3 | F3.5-6.3 | F5-7.1 |
手ブレ補正機構 | ○ | ○ | ○ | ○ |
フィルター径 | 49 mm | 49 mm | 55 mm | 55 mm |
最大径 x 長さ | 69×44.9 mm | 69×44.3 mm | 69×84.5 mm | 69×92.9 mm |
重量 | 150 g | 130 g | 310 g | 270 g |
RF-Sマウントレンズは、そのほとんどが6万円を超えない価格帯です。そんななか、シグマがRF-Sと同等のAPS-C用レンズを発売することになります。
差別化はできている
焦点距離が近いレンズとして、RF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMと10-18mm F2.8 DC DNが挙げられます。おなじく、RF-S 18-45mm F4.5-6.3 IS STMと18-50mm F2.8 DC DNも同じ焦点距離範囲です。
ただ、ズームレンズはSIGMAの製品がF値が小さく、描画性能が良くなると期待できます。(そのぶん価格も高いですが…)
シグマのRFレンズとキヤノンのRF-Sマウントレンズは、商品としての差別化はできているようです。あとは、これらのレンズの描画力次第ということでしょうか。
タムロンもRFマウント用レンズを発売
タムロンも、2024年内にRFマウントに対応したレンズ、11-20mm F/2.8 Di III-A RXDを2024年内に発売するとしています。
シグマと同じく、既存レンズのマウント違いとなります。価格は未定とのことですが、SONY Eマウント用の同じレンズの価格は約7万円。こちらも楽しみです。
まとめ
シグマから、待望のRFマウント用レンズが発売されます。6本のレンズのスペックや価格を比較しました。
単焦点レンズは価格抑えめ、ズームレンズは既存のRF-SレンズよりもF値の小さい高価なレンズという位置づけになります。
発売された際には、実際に使ってみてレビューをしたいと思います。
関連記事
この記事はアフィリエイトリンクを含みます